ホワイトデー大戦略

作者コメント：

べ「…あっ、あの！旦那様っ！お願いがあります！一生のお願いですっ！！」ふだん笑顔を絶やさないベイちゃんが、いつになく真剣な面持ちで詰め寄ってくる。両手の拳を握りしめ、緊張のためか翼までプルプル武者震いしている。こーゆーベイちゃんは、なかなか見られるモンじゃない。べ「今年のホワイトデー！お返しのお菓子をお作りになるなら…ぜひ！このベイにお手伝いさせて下さいっ！！去年、姉上様がご指導なさったマカロンは、パティシエ大会優勝者の名にふさわしい、それはそれは素晴らしい出来栄えで、一口食べたら甘くて幸せで心があったかくなって！あたしじゃ逆立ちしてもかないっこないくらい美味しかったですけど！でも、たったひとつだけ…足りないモノがあったと思うんです！だからあたし、今年はどうしてもお手伝いしたいんです！！お願いです旦那様っ！どうか、私にお手伝いさせて下さいっ！！」…足りないモノって、いったいナニが足りないと思ったんだい？べ「保存性です！賞味期限です！いつでもどこでも、旦那様の優しい想いといっしょに居られる時間です！！去年はマカロンをたくさん用意して、ケーキビュッフェみたいに皆さんいっしょにお召し上がりになりましたから、特に日持ちとか関係なかったですけど、今年は違うじゃありませんか！？鎮守府の皆さんやカルデアの皆さん、500人以上の艦娘さんたちやサーヴァントさんたちに、バレンタインのお返しをするんですよ！？それなのに、生クリームやフルーツを使った日持ちのしないお菓子をお贈りしたら、都合が悪くて食べられない方や、日数が経って味の落ちたお菓子を食べなきゃならない方も、きっといらっしゃると思うんです！だからあたし、考えました！『そうだ、キャンディーにすればいいんだ！』って！オレンジ、アップル、ストロベリー…皆さんのお好みに合わせた色んな香りと味のキャンディーをたくさんたくさん作って、ひとつひとつ旦那様が心を込めて丁寧に包み紙でラッピングして、リボンをかけて素敵な宝石箱みたいにして、一人一人にお渡しするんです！！艦娘さんたちもサーヴァントさんたちも、みんな旦那様のために、一生懸命がんばって下さってる方たちです！痛くても辛くても、勇気をふるって戦って下さってる方たちです！とても立派で、とても頼もしい方たちです！あたしみたいな役立たずの精液処理用生オナホからしたら、感謝してもしきれないほど素晴らしい方たちばかりです！！そんな皆さんが、不安な気持ちをいだいて戦場に赴くとき、傷付き疲れはてて母港に帰ってくるとき…そっとポケットに忍ばせておいた旦那様のキャンディーを取り出して、旦那様の優しい笑顔と感謝のお言葉を思い出しながら口に含んで、甘い香りと味で胸がいっぱいになったら…きっと元気が出ると思うんです！嬉しくて涙が出ちゃうと思うんです！ただの小っちゃなキャンディーでしかなくても、そこには、旦那様の想いと絆がいっぱい込められてるからです！！だから、どうかお願いします！今年は、姉上様でなく…このカズィクル・ベイに！ホワイトデーのお菓子作りをお手伝いさせて下さいっ！！」一気にまくし立ててゼエゼエ肩で息をしている。目にはうっすらと涙まで浮かべている。誰だ？こんなに優しくて、思いやりがあって、不器用なほど一生懸命な女の子を…悪魔だとか、吸血鬼だとか、串刺し公だなんて呼んだヤツは？（義憤）あー、その、実はね…もう白陛下から『今年はベイちゃんに手伝ってもらってね♡』って、言われてるんだよ。べ「…え？」白陛下、言ってたよ『お姉ちゃんね、手間暇かけて凝ったお料理を美味しく作るコトはできるけど、そこまでなの。ベイちゃんみたいに、食べた人を和ませて幸せな気持ちにしてくれる、そんなぬくもりに満ちた優しいお料理は…悔しいけど作れないの。ベイちゃんは調理法とか食材とか関係なく、食べる人に美味しく食べてもらいたい、美味しく食べて幸せになってもらいたい、その想いだけで作ってるからね？お料理もお菓子もいっしょ。だから、今年は…ううん、今年からはベイちゃんを頼ってあげて♡』ってね。うん、それは俺もそう思った。そう思ったから、ベイちゃんにお願いしなきゃと考えてたとこなんだ。ねえ、ベイちゃん？俺に、美味しいキャンディーの作り方…教えてくれないかな？べ「は！はいっ！！甘くて甘くてとびっきり美味しいキャンディー♡いっしょに作りましょうね！旦那様っ！！」