続・艦隊いまだ出撃せず

作者コメント：

木「ああクソっ！じれってえっ！！いったいいつんなったら出撃すんだ、秘書艦のバカはっ！？」球「まあ、落ち着けクマ。南方作戦開始からまだ一週間と経ってねえクマ。焦んなくても敵は逃げも隠れもしねえクマ。いっそ逃げ出してくれりゃ、余計な手間もはぶけんだけど…そうそう都合良くいかねえのが世間てモンだクマ」木「にしたってよお、他の鎮守府のダチから『ウチもう前段作戦終わったわ、ソッチはどうよ？』とか言ってくんだぜ？ご丁寧に掘り当てた新規艦とピースしてる自撮りまで添えてよお？『ウチはまだバリ島沖にも行ってません』とか、こっ恥ずかしくて言えるかってんだよ！？」球「諦めろクマ。後段作戦が始まって、先遣隊の威力偵察の報告が届くまで、秘書艦はテコでも動かねえクマ。南方作戦の全体像を把握して、攻略計画と艦隊編成の最適解が出そろうまでは…まあ、魚雷発射管でも磨いとけクマ。ウサ晴らしに演習でよその出征艦隊タコ殴りにすんなら、一枚噛んでやってもいいクマよ？」木「まったく…前なら提督の号令一下、作戦開始と同時に出撃して一番槍を競えてたってのに、あの女が秘書艦に座ってからコッチ、どうにも戦い方が悠長でいけねえや。後先考えずに突っ込んでって、札や資材でアタマ抱えるくれえ、別に毎度のコトだったじゃねえか！？皇帝陛下ってのはアレか？堪忍袋の緒がワイヤーロープで出来てんのか！？」球「おめーはまだまだ、人を見る目が甘えクマ。たぶん今、鎮守府で一番出撃したがってるのは、他でもねえ当の秘書艦だクマ。あんなに気の短え女はいねえクマ。四の五の考える前に、まずブン殴るタイプだクマ。そんな短気なイノシシ女が、どうして我慢できてるのか…まあ、ソレが分かってりゃ愚痴なんかこぼさねえクマ？末っ子ってのはお気楽な商売だクマ。とりあえずありがたく、提督とおめーらを想ってのコトだと、無理やり納得しとけクマ」木「けっ、ここぞとばかりに姉貴風吹かしやがる。けどよ、このまんまじゃいいかげん待ちくたびれて、自慢の酸素魚雷が錆びついちまう。さっさとどうにかして欲しいモンだぜ…」球「言っちゃ悪いが、おめーら雷巡なんざ鉄砲玉だクマ。鉄砲玉は余計なコト考えず、突っ込んでくのがお仕事だクマ。ギリギリまで引き付けて狙いを定め、秘書艦が撃鉄上げて提督が引き金引いたら、後先考えずに死ぬ気で突っ込みゃイイだけクマ。一応姉として、骨くらいは拾ってやるから安心しろクマ」木「へーへー、お優しいこって。ちっともシャレになってねえトコが、ありがたすぎて涙が出らあ」