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ザ・カーチャンズ

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    2018-10-14
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作者コメント:

うわっ、バキバキに凝ってますね母后陛下。かなり気苦労が溜まってらっしゃるんで?母「あいててて、嫁入り直後に戻った気分だよ。箸の上げ下げまで文句つけて、障子のほこりを指ですくいやがる。普通の相手ならブチのめすとこだけど、さすがに相手が悪すぎらぁ…」そんなにお強いんですか大帝陛下?母后陛下だって地上最強の生物でしょうに?母「あたしも腕っぷしにはちぃとばかり自信があるけど、あの御方にゃ勝てねぇ。100回やっても100回ボコられる。だいたい竜を素手で殴り殺せるような相手に、逆立ちしたってかないっこねぇや…」いやいや、そもそも竜とかいませんから。母「いなくしたんだよ、あの御方が。昔『うぬらが暴れると民が難儀するゆえ、去ね』とか言って殴り殺して滅ぼしたんだとさ。生き残りの何匹かは二度と人を襲わないと臣従の誓いを立てて、蓬莱の仙峡で飼われてるって話だ。ハリウッド映画じゃあるまいし、人間二千年も生きてると、ああも化け物じみてくるもんかねぇ…」そういや大帝陛下って、二千年前の遠い遠いご先祖様ですよね?なのになんで、白黒両陛下を孫とか呼んで可愛がってるんでしょ?ひいひいひいひい(略)ひ孫ぐらいだから、ほとんど血縁なんかないも同然なのに。母「ああ、ええと、それは…秘密というか、何というか…」珍しく口ごもる母后陛下に、意外な声が背中を押す。始「よい、許す。いずれは康熙の連れ合いとなるやもしれぬ男じゃ、教えたところで苦しゅうない。もし他言しようものなら、首を刎ねれば済むことよ」なんでこう、すぐ首刎ねたがるかな、この一家は…始「なに、簡単な話よ。あれの父でありこやつの夫でもあった先帝は、この我が腹を痛めた子なのじゃ」…はあ!?始「王統もこれだけ続けば、子宝に恵まれぬこともままある。先々帝の后も、それはそれは優しく賢く美しく、我が子孫にはもったいないほど出来た女であったが、いかんせん子をなせぬのが玉に瑕でな。しかるに、夫たる先々帝は后一筋の堅物で、後宮の女どもなど指も触れぬ。このままでは王統が途絶えるゆえ、真祖たる我がじきじきに命じたのじゃ。『我を孕ませ』とな」三国志とか水滸伝のエピソードならともかく、それが…たかたが50年ほど前の実話ですか?始「うむ。しかるのち、我と后は枕を並べて共に抱かれた。后は涙ながらに我の手を取り、ありがとうございますと何度も呟いておった。双方精を注がれたものの、孕んだのは我一人。日に日に大きゅうなる我の腹を愛おしそうに撫でながら『天にも等しき御真祖様から賜るこの子こそ、まさしく天よりの授かりもの。歴代皇后の中でも私ほどの果報者は二人とおりますまい。私は、本当に幸せでございます』と后は申した。これで合点がいったかの?我があの二人を…数千数万に及ぶ子孫の中でも、とりわけ康熙たちを愛でる、そのわけが」…なんていうか、言葉が出ません正直。始「凡俗の身では無理からぬ。じゃが覚えておけ、康熙を愛するというのは、こういう世界に足を踏み入れるということじゃ。その覚悟なくば、今からでも遅うない、並の女と添い遂げ並の暮らしを送るがよかろう。不釣り合いな婚姻ほど傍迷惑なものもない。それ、そこなる嫁を見れば一目瞭然じゃ。よもやこんなメスゴリラを嫁に選ぼうとは、ほとほと難儀な倅であったことよ…」ブチッと、何かの切れる音が聞こえた。借りてきた猫のようにかしこまっていた母后陛下が、キレた音だ。母「…メスゴリラ呼ばわりは武人の誉れ、ありがたく頂戴いたします。が、今のお言葉、亡き先帝陛下には女を見る目がなかったと、罵るようにも聞こえました。母君たる大帝陛下とも思えぬお戯れ。不躾ながら、なにとぞお取り消しを…」始「言うたがどうした?我みずからが腹を痛め、后の愛に育まれて手塩にかけた倅が、よりにもよって后とは真逆な、女らしさのかけらも見当たらぬ不出来な嫁を選んだのじゃぞ?取柄といえば腕っぷしのみじゃが、それすら我には太刀打ちもできぬ。文句があらば、女らしさでも腕っぷしでも何でもかまわぬ、我に『まいった。さすがは倅の選んだ嫁じゃ』と言わせてみよ」母「上等だ!やってやろうじゃねえかよおおおっ!!」あああ、なんであんな見えすいた挑発に乗っかっちゃうかなもう…始「ほう、ようやく猫かぶりの皮が剥がれよったか。やはりそち…いや、そなたはそうでのうては面白うない。なまじ子育てなぞに追われ、牙が抜けたかと思うたわ。剣か?それとも拳か?好きに選ぶがよい。わずかなりとも勝ち目があると思える勝負を挑んでみよ。それを完膚なきまで打ちのめすが、我は滅法好きでのう」母「うるせえ!誰がてめえの土俵でなんか勝負するか!?飲み比べだ、飲み比べ!!今日こそてめえが茹でダコみてえに真っ赤んなって、タコ踊りするまで許さねえからそう思えっ!!!」始「ふむ、となれば勝負はいつもの赤提灯か。これ凡俗、付き合え。我らだけでは最後は双方酔いつぶれ、勝負の行方が分からぬで難儀しておったのじゃ。審判を引き受ければ、旨いタダ酒にありつけるぞ?」…えーと、それって、今から審判判断でノーゲームにしちゃダメですか?ダメ?やっぱり?そーですよねー(絶望)
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